Last Updated on 2026年4月9日 by カメさん

こんにちは!看護師のカメさん(@49_kame)です。
この記事は10分程度で読めます。

看護研究において、統計手法を選択する方法を解説したいと思います
アンケート結果などを分析する上で統計解析が必要なことが分かっても、実際にどんな解析方法を選べば良いか分からないことってありますよね。どんな解析方法を使っていいか分からないことは、研究・統計解析に苦手意識を持つ原因の一つだと思います。今回の記事では、統計解析方法の選び方について解説していきます。解析方法を選ぶ手順を理解して、苦手意識を克服しましょう。
研究や統計解析に苦手意識がある方や、統計解析を使う研究を経過うしているけど不安がある方、統計解析方法の選び方が分からないなどの悩みがある方の力になれれば幸いです。
統計解析方法を選ぶ前の準備:研究疑問を明確にしよう!
研究とは、何か明らかにするために行います。統計解析は、その目的を達成するための道具の1つです。
つまり研究疑問を解決するために統計解析を使います。

研究=統計解析ではないから注意しよう!
「臨床疑問の特定→文献検討→研究疑問の特定」の順で研究疑問を明確にします。
そして研究疑問を明らかにするために統計解析が必要であれば、データ収集して解析しましょう。
- 臨床疑問とは:臨床で生じた疑問
- 研究疑問とは:研究によって明らかにしたい疑問
臨床疑問や研究疑問について詳しく知りたい方は【臨床疑問(クリニカルクエスチョン)と研究疑問(リサーチクエスチョン)とは?】看護研究の疑問を解決を参照してください。
研究疑問を特定する段階で、質的研究によるアプローチが適しているようであれば、当然統計解析は必要ありません。
量的研究や質的研究について詳しく知りたい方は【量的研究・質的研究ってなに?】看護師必読「看護研究の分類を理解しよう」を参照してください。
それでは下記より統計解析方法の選択について解説していきます。
統計解析方法を選択する④つの基準
統計解析方法を選ぶときにに鍵になるのが①統計解析の目的 ②標本数 ③データの尺度 ④データの分布の4つです。これら4つのポイントを明確にすることにより、統計解析方法が選択されます。

研究疑問を明確にする時から、上記4つのポイントを整理しておこう!
「➀統計解析の目的」で選ぶ
まずは、4つのポイントの1つ目である「統計解析の目的」から確認していきます。統計解析の目的とは、統計解析をすることで知りたい情報のことです。つまり自身の研究で明らかにしたいことです。
統計解析で知りたい目的が明確になったら、この目的を明らかにするための統計手法を選択します。下記の表が目的と解析方法の関係です。

新しい教育方法と従来の教育方法の2つのグループ間に効果の差があるのかを知りたいというのが、「統計解析の目的」です。上の表だと②の「グループに差があるか知りたい」に該当します。そのため、この目的を明らかにするために「差の検定」を選択します。
「②標本数」「③データの尺度」「④データの分布」で選ぶ
「➀統計解析の目的」に合った解析方法を選択した後は、今回の研究で扱う「②標本数、③データの尺度、④データの分布」に適した、具体的な解析方法を選択していきます。
下記から、統計解析の目的毎に具体的な解析方法の選択方法を解説していきます。
統計解析の目的➀「2つの変数の関係を知りたい:相関分析」
統計解析の目的が「2つの変数の関係を知りたい」である場合は、前述の通り解析方法は相関分析となります。相関分析では、量的な尺度のデータ(量的変数)を使用します。また、データの分布によって「Pearsonの相関係数」と「Spearmanの順位相関係数」に分かれます。なお質的尺度のデータ(質的変数)を取り扱う場合は、記事下部に記載の分割表の検定となります。
データの尺度について詳しく知りたい場合は【名義尺度?間隔尺度?】看護研究の疑問を解決「データの種類を理解しよう」を参照してください。
また正規分布について知りたい場合は【正規分布:概要編】データの分布を理解しよう!を参照してください。
下記が相関分析を具体的に選択するフローになります。


相関分析で分かるのは関係性だけだよ。時間的要素も加味した因果関係を知りたい場合は、記事下部の重回帰分析や多重ロジスティック回帰分析を選択しよう。
相関分析の概要は【相関分析:概要編】看護研究の疑問を解決「2つの変数の関係性を確認しよう」で解説しています。また相関分析を実際に行う方法は【相関分析:実践編】EZRで2つのデータの関係性を分析!で解説しています。
統計解析の目的②「グループに差があるか知りたい:差の検定」
グループに差があるか知りたい場合は、扱う変数が量的変数ならば、2標本の検定 or 分散分析という選択となります。
下記が2標本の検定を具体的に選択するフローになります。相関分析は、データの尺度や分布によって「Pearsonの相関係数」と「Spearmanの順位相関係数」に分かれます。
2標本の検定の場合
対応のない、対応のあるとは、
•対応のないデータを用いた2標本の差の検定とは、2つのグループからそれぞれ収集するデータを比較する分析のことです
•例えば、介入群と対照群の2群を比較する分析などです
•「対応のない」ことを「独立した2群」と呼んだりします
•「対応があるデータ」を用いた2標本の差の検定とは、1つのグループから収集する2つのデータを比較する分析のことです 例えば、1グループへの介入前後の点数の比較などです



2標本の検定や分散分析の詳細は下記で解説しています。
【分散分析:概要編➀】看護研究の疑問を解決「3つ以上の”対応のない”データを分析しよう」
【分散分析:概要編②】看護研究の疑問を解決「3つ以上の”対応のある”データを分析しよう」
2標本の検定や分散分析を実際に行う方法は下記で解説しています。
【t検定:実践編➀】EZRで“対応のない”2群の差を比較しよう!
【分散分析:実践編➀】EZRで”対応のない”分散分析をしよう!
【分散分析:実践編②】EZRで”対応のある”3つのデータを比較!
分散分析の場合




統計解析の目的③「結果に影響する原因が知りたい」
統計解析の目的が「結果に影響する原因が知りたい」場合、つまり因果関係を明らかにしたい場合は、従属変数のデータの尺度によって解析方法を選択します。
l多重ロジスティック回帰分析は、複数の説明変数から、2値の目的変数が起こる確率を予測する方法です
l2値とは「転倒の有無」など、答えが2つしかない値のことです
結果に影響する原因が知りたい場合は、重回帰分析もしくは多重ロジスティック回帰分析を選択します。
なお、重回帰分析と多重ロジスティック回帰分析の選択は、従属変数の性質によって異なります。重回帰分析は、複数の独立変数が、量的な従属変数に及ぼす影響を知るための解析方法です。そして、多重ロジスティック回帰分析が、複数の独立変数が、従属変数である2群の差(あり/なし等)に及ぼす影響を知るための方法です。


これらの解析方法については、正規分布についても基本的には考えなくて良いと言われているよ。
重回帰分析や多重ロジスティック回帰分析の詳細は下記で解説しています。
【重回帰分析:概要編】看護研究の疑問を解決「因果関係を調査しよう」
【多重ロジスティック回帰分析:概要編】看護研究の疑問を解決「因果関係を調査しよう」
重回帰分析や多重ロジスティック回帰分析を実際に行う方法は下記で解説しています。
【多重ロジスティック回帰分析:実践編】看護統計「EZRで因果関係を分析!」
統計解析の目的④「質的変数どうしの関連性が知りたい:分割表の検定」
データの関連性を知りたい場合に、扱う尺度が質的尺度のデータ(質的変数)の場合は分割表の検定を選択します。


ちなみに分割表の検定は扱う尺度が質的変数のため、正規性の確認は必要ないよ。
分割表の検定(χ²検定)の概要を知りたい方は【分割表の検定(カイ二乗検定):概要編】看護研究の疑問を解決「質的変数を分析しよう」を参照してください。また、分割表の検定(χ²検定)を実際に行う方法を知りたい方は 【分割表の検定(カイ二乗検定):実践編】EZRでカテゴリー変数同士の関係性を分析!を参照してください。
まとめ

統計解析方法は何を選んだら良いか分からないという意見をよく聞きます。しかし、系統的に選ぶ方法を覚えてしまえば難しいものではありません。
研究疑問を明確にした上で、研究目的を明らかにすることのできる統計解析方法を系統的に選択しましょう。

統計アレルギーを克服しよう!
この記事を読んだ方におすすめの書籍を下記で紹介しています。良かったら参照してください。
研究では統計解析のために膨大なデータ(アンケート調査のデータなど)を入力する作業が必要となります。これは単純作業ですが、多大な労力と時間を要します。また正確性も重要になります。そのため、データ入力を専門業者に依頼することも1つの選択肢だと思います。
興味のある方は【アンケート調査のデータ入力は代行業者にお任せ】研究データのデータ入力代行業者を探すならEMEAO!(エミーオ)がおすすめ!で紹介しているので良かったら参照してください。
おまけ:「標本数・データの尺度・データの分布」とは何かを解説するよ
標本数・データの尺度・データの分布について詳しく解説します。

基本的な内容だから、理解できている人は読まなくても大丈夫だよ。
標本数とは?
標本数とは?
- 対象となるデータの集まりのこと
- 群やグループと呼ばれる
- 1標本の研究とは、ある10人の対象に介入を行い前後の比較を行うなどです。
- この10人のグループが1標本です。
- 1標本を前後で比較するデータを対応のあるデータと呼びます。
- 2標本の研究とは、介入群・非介入群 男性・女性などを比較する研究です。
- 独立した2群であるため、対応のないデータとも呼ばれます。
データの尺度とは?
データの尺度とは?
- 名義尺度・順序尺度・間隔尺度・比率尺度の4つ
- 質的データ:名義尺度・順序尺度
- 量的データ:間隔尺度・比率尺度
- データの情報量は名義→順序→間隔→比率の順に大きくなる
血液型(A型、B型・・・)、性別(男性・女性)住所(東京都、神奈川県・・・)
学年(1年、2年・・・)、重症度(軽症、中等症、重症)、順位(1位、2位・・・)
気温(15℃、16℃・・・)、年齢(25歳、26歳・・・)、テストの得点(75点、76点・・・)、西暦(2001年、2002年・・・)など
身長(160㎝、161㎝・・・)、体重(55㎏、56㎏・・・)、血圧(120mmhg、121mmhg・・・)など
データの分布とは?
データの分布とは?
- データがどのような形状かをヒストグラムで示したもの
- 統計解析においては、正規分布か否かを確認する
ヒストグラムとは?
縦軸に度数(体重とかの量)、横軸に階級(対象者とか)として量的なデータを示すグラフをヒストグラムと言います。
統計解析では、正規分布であればパラメトリック法を使用し、正規分布でなければノンパラメトリック法を用います。
パラメトリック法とは?
- 正規分布に従うデータに使用
- パラメータ(平均・標準偏差)を用いる
- 平均を比較できるデータに適用
ノンパラメトリック法とは?
- 正規分布に従わないデータに適用
- 中央値を比較するデータに用いる
- 正規分布のデータにも使用できる
参考文献
- 対馬栄輝(2020).医療統計解析使いこなし実践ガイド.羊土社,東京.
- 対馬栄輝(2019).医療系研究論文の読み方・まとめ方.東京図書,東京.






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