Last Updated on 2024年3月28日 by カメさん
こんにちは!看護師のカメさん(@49_kame)です。
この記事は3分程度で読めます。
今回はp値について解説するよ。
p値を理解できると論文の結果を解釈できるようになります。この記事を読んで、p値の概要を理解しましょう。このブログの内容はyoutubeでも解説しているので良かったら参照してください。
p値とは、2つの群を比較した時に偶然の差が起きる確率です。
偶然の差とは意味の無い差のことを言います。研究結果として求めているのは、偶然ではない差(意味のある差/有意差)のため、意味の無い差が起きる確率であるp値はできるだけ低い方が良いです。
研究では「ある群とある群に差があるかもしれないという仮説」を立てて、その仮説がどうなるかを検証します。その時に有意な差が無いとする仮説(帰無仮説)を棄却できれば、今回の研究では自分が仮説した通り、有意な差がある(対立仮説)を採用とします。
この帰無仮説と対立仮説を選べるかどうかの基準となるのがp値です。意味の無い差が起きる確率であるp値が低ければ、「帰無仮説(意味のある差が無い)を捨てて、対立仮説(意味のある差がある)を採択」することができます。
p値や帰無仮説/対立仮説について、より深く理解するためにはαエラーやβエラーを理解することがおすすめです。詳しくは下記の記事を参照してください。
【αエラー・βエラーとは?】第1種の過誤(αエラー)と第2種の過誤(βエラー)、検出力(1-β)について分かりやすく解説!
p<0.01や p<0.05とは?
p値は意味のない差が起きる確率です。そのため、p<0.01や p<0.05の数字は確率、つまり%で表すことができます。0.01とは100回に1回起きる確率(1%)です。0.05は100回に5回起きる確率(5%)です。
例えばP=0.01だとします。これが意味するのは、ある群とある群を比較した時に、偶然の差(意味のない差)が100回に1回、起きる確率のことです。
偶然の差が起きるのが100回に1回の確率なら、その結果は偶然じゃなさそうだね。
統計では、絶対に有意な差があるかどうかは分からない
p=0.01ならば偶然の差(意味の無い差)が100回に1回は出ます。つまり仮説の判定には一定の確率で誤りが生じることがあります。
p値が低かったからと言って、「絶対に差があるぞ!」と宣言をできないのが統計の世界です。
論文の中のp値を見てみよう!
論文の結果の表を基にp値を理解しましょう。
この研究は2群のランダム化比較試験です。妊婦さんに介入を行った効果を、対児感情評定尺度と状態不安得点という指標を用いて分析しています。
右から2番目のp-valueと書いてあるのがp値のことです。上からp値が0.01、0.13、0.22となっています。
つまりそれぞれ、100回比較すると偶然の差が1回、13回、22回起きるということです。
一番下のp値はp=0.22だって。100回中に22回も偶然の差が起きるんじゃ今回も偶然の差だったんじゃないかって考えちゃうよね。
2群の差の比較について詳しく知りたい方は以下の記事を参照してください。
【t検定ってなに?】看護研究の疑問を解決「2群の差を比較しよう」
注意:p値で差の程度は分からない
p値は差があるか無いかの指標であり、差の程度は分かりません。差の程度を見るためには効果量を活用する必要があります。
効果量とは、effect sizeとも呼ばれる差の程度や関連の強さの指標です。差の程度はCohen’s d や Hedges’ gなどがあります。関連の強さであれば、相関係数が効果量です。覚え方は、「差の大きさを表すのがd族の効果量」「関連の強さを表すのがr族の効果量」です。
効果量や相関係数については下記の記事でまとめているので良かったら参照してください。
【効果量とは?】看護師必見「効果量の種類や、効果の大きさの目安も解説するよ」
【相関てなんだ?】看護研究の疑問を解決「2つの変数の関係性を確認しよう」
解析結果だけではなく臨床家としての知見も大事
p値(有意差)や効果量だけではなくて、臨床家としての経験も重要です。統計の結果で有意な差があるとの結果が出るかもしれませんが、それが臨床的にみて意味がある差かどうか検討することが重要です。
例えば、ある群とある群の患者の心理テスト(100点満点)の結果を比較したとします。検定の結果、「テストの得点に有意な差がある」と判定があったとしても、テストの得点の差が5点だけでした。これは本当に意味のある差でしょうか。
検定の結果だけでなく、自身の経験も大切にしながら分析を進めていきましょう。
統計の結果が全てじゃないよ。その結果の奥にあることを読み取れるかどうかが鍵になるね
まとめ
p値のような統計的用語を理解していくことで論文の結果を客観的に読み解くことができるようになります。論文の文章は人間が書いています。そのため結果の文章には、その人の考えが入ってしまうことがあります。
論文の結果を正確に読み取るためには、読む側が正しい知識を持ち、かつ客観的に結果を解釈する必要があります。
論文は、筆者の文章に惑わされずに客観的に読もう!
おまけ
ちなみに表の文献は妊婦さんが出産前に実際に乳児と不安とかが良くなるかどうかを調査したRCT(ランダム化比較試験)です。興味ある方は以下の参考文献から見てみて下さい。
核家族化で、乳児と触れ合う機会の無いまま親になる人は多くいると思います(僕もそうでした)。またwithコロナの時代となり、Zoomを使った映像によるコミュニケーションが浸透してきました。そんな中で対面の重要さというものを改めて教えてくれる文献でもありました。
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