Last Updated on 2023年12月28日 by カメさん
こんにちは!看護師のカメさん(@49_kame)です。
この記事は10分程度で読めます。
看護研究において、統計手法を選択する方法を解説したいと思います
どんな解析方法を使っていいか分からないことが、研究・統計解析に苦手意識を持つ原因の一つだと思います。解析方法を選ぶ手順を理解して、苦手意識を克服しましょう。
解析方法を選ぶ前の準備「研究疑問を明確にしよう」
研究とは、何か明らかにするために行います。統計解析は、その目的を達成するための道具の1つです。
つまり研究疑問を解決するために統計解析を使います。
研究=統計解析ではないから注意しよう!
「臨床疑問の特定→文献検討→研究疑問の特定」の順で研究疑問を明確にします。
そして研究疑問を明らかにするために統計解析が必要であれば、データ収集して解析しましょう。
- 臨床疑問とは:臨床で生じた疑問
- 研究疑問とは:研究によって明らかにしたい疑問
研究疑問を特定する段階で、質的研究によるアプローチが適しているようであれば、当然統計解析は必要ありません。
それでは下記より統計手法の選択に移りましょう。
解析方法を選択する4つの基準
統計手法を選ぶときにに鍵になるのが①統計解析の目的 ②標本数 ③データの尺度 ④データの分布の4つです。
研究疑問を明確にする時から、上記4つのポイントを整理しておこう!
「統計解析の目的」で選ぶ
統計解析の目的とは?
統計解析をすることで知りたい情報のこと
統計解析で知りたい目的が明確になったら、この目的を明らかにするための統計手法を選択します。下記の表が目的と解析方法の関係です。
「標本数」「データの尺度」「データの分布」で選ぶ
上記の「統計解析の目的」を、「標本数・データの尺度・データの分布」により更に詳しく解析方法を選択します。
統計解析の目的「2つの変数の関係を知りたい」
2つの変数の関係を知りたい場合は、扱う変数が量的変数であれば相関分析になります。
相関分析で分かるのは関係性だけだよ。時間的要素も加味した因果関係を知りたい場合は、上記の重回帰分析や多重ロジスティック回帰分析を選択しよう。
統計解析の目的「グループに差があるか知りたい」
グループに差があるか知りたい場合は、扱う変数が量的変数ならば、2標本の検定 or 分散分析という選択になります。
統計解析の目的「結果に影響する原因が知りたい」
統計解析の目的「結果に影響する原因が知りたい」場合に関しては、統計解析の選択手順はありません。
正規分布に関しても基本的には考えなくて良いと言われています。
「結果に影響する原因が知りたい」場合は、重回帰分析もしくは多重ロジスティック回帰分析を行いましょう。
統計解析の目的「質的変数どうしの関連性が知りたい」
上記の「2つの変数の関係を知りたい」「グループに差があるか知りたい」の両者において、扱う尺度が質的変数の場合は分割表の検定になります。
ちなみに分割表の検定は扱う尺度が質的変数のため、正規性の確認は必要ありません。
まとめ
統計解析方法は何を選んだら良いか分からないという意見をよく聞きます。しかし、系統的に選ぶ方法を覚えてしまえば難しいものではありません。
研究疑問を明確にした上で、研究目的を明らかにすることのできる統計解析方法を系統的に選択しましょう。
統計アレルギーを克服しよう!
おまけ:「標本数・データの尺度・データの分布」とは何かを解説するよ
標本数・データの尺度・データの分布について詳しく解説します。
基本的な内容だから、理解できている人は読まなくても大丈夫だよ。
標本数とは?
標本数とは?
- 対象となるデータの集まりのこと
- 群やグループと呼ばれる
データの尺度とは?
データの尺度とは?
- 名義尺度・順序尺度・間隔尺度・比率尺度の4つ
- 質的データ:名義尺度・順序尺度
- 量的データ:間隔尺度・比率尺度
- データの情報量は名義→順序→間隔→比率の順に大きくなる
データの分布とは?
データの分布とは?
- データがどのような形状かをヒストグラムで示したもの
- 統計解析においては、正規分布か否かを確認する
ヒストグラムとは?
縦軸に度数(体重とかの量)、横軸に階級(対象者とか)として量的なデータを示すグラフをヒストグラムと言います。
正規分布とは?
真ん中が最もデータの数が多くて、真ん中から遠ざかるほどにデータ数が少なくなる分布
統計解析では、正規分布であればパラメトリック法を使用し、正規分布でなければノンパラメトリック法を用います。
パラメトリック法とは?
- 正規分布に従うデータに使用
- パラメータ(平均・標準偏差)を用いる
- 平均を比較できるデータに適用
ノンパラメトリック法とは?
- 正規分布に従わないデータに適用
- 中央値を比較するデータに用いる
- 正規分布のデータにも使用できる
参考文献
- 対馬栄輝(2020).医療統計解析使いこなし実践ガイド.羊土社,東京.
- 対馬栄輝(2019).医療系研究論文の読み方・まとめ方.東京図書,東京.
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