Last Updated on 2023年2月27日 by カメさん
※この記事は、戦争や震災、感染症を軽視することを推奨するものではありません。
こんにちは!看護師のカメさん(@49_kame)です。
この記事は3~4分程度で読めます。
今回は、共感疲労や共感満足について解説するよ。医師・看護師の世界では以前から提唱されている概念です。
テレビやSNSでは、東日本大震災や新型コロナウイルスのパンデミック、ウクライナでの戦禍が、映像を交えてリアルに伝えられています。
ニュースを見ている中で心が疲れてしまったと感じることはありませんか?それは共感疲労かもしれません。
ニュースに触れる中で、人は知らずのうちに心が疲弊しています。真剣にニュースの先にいる相手を思えば思うほど疲労は強くなります。
事実から目を背けろとは言いません。自分の心の状態を理解することが大事だよ。
共感疲労とは?
共感疲労とは?
- Figley(1995) が共感疲労の概念を確立した
- 「他者が経験したトラウマティックな出来事について知ることによって引き起こされる自然な帰結としての行動と感情 – トラウマを抱え苦しんでいる他者を助けることによるストレス」と定義
- 共感疲労はバーンアウト(燃え尽き症候群)とは対照的で、何の前触れもなく突然発現するが、症状回復ペースも速い
- 共感疲労の閾値は個人により異なる
共感疲労は一般的に「思いやりのコスト」と呼ばれているよ。
バーンアウト(燃え尽き症候群)とは?
「感情的にギリギリの状況下で長期間従事することによっておこる、身体的、感情的、精神的疲弊」と定義されます。バーンアウト(燃え尽き症候群)が急性の肉体的疲労とするならば、共感疲労は精神的疲労とも考えられます。
共感満足とは?
共感疲労の対になる概念として共感満足という言葉があります。
共感満足とは?
- Stamm(2002)が提言
- 共感疲労の対となるポジティブな概念
- 対人的な援助における喜びや充実感などの肯定的感情体験
共感疲労と共感満足のバランスが大事
共感疲労と共感満足は、どちらが良いという議論ではありません。共感疲労を感じつつも共感満足を適度に感じている状態であれば問題ありません。
ニュースの出来事とか、自分の影響が及ばない範囲のことで共感疲労を感じている場合が多いよね。そんな時は共感満足を感じるのは難しいから共感疲労を減少させることに注力しよう。
下記で解説するよ。
共感疲労への対策は?
ここからは、共感疲労を感じてしまった場合の対策を解説していきます。
岸本ら(2019)の文献レビューによると・・
共感疲労に対して、認知的教育プログラムもしくは瞑想関連プログラムを行うことにより、共感疲労が低下し、更に共感満足も増加していたことが示された。
共感疲労を防ぐための基本的な方法は「セルフケア」です。
以下に紹介する認知的教育プログラム(認知行動療法)や瞑想関連プログラム(瞑想)は自分を振り返るための手段、つまりセルフケアの方法です。
認知的教育プログラムとは?
認知的教育プログラムとして一般的なものに認知行動療法があります。
認知行動療法は、燃え尽き症候群や精神的疲労の症状を軽減する効果があることが実証されています。
認知行動療法とは?
- 問題の解決を目指す心理療法
- 問題を具体的にして、考え方や行動などの変えやすい部分から少しずつ変えていくことで
- 自分自身を振り返り、思考の癖に焦点を当てる
瞑想関連プログラムとは?
瞑想関連プログラムとは言葉の通り瞑想のことです。
瞑想とは?
- 静かな気持ちで自身と向き合い、今の心がどう感じているか知ること
- 客観的に自身を見つめ直す行為
瞑想って言っても堅苦しく考えずに、自分と向き合うだけで十分だよ。
まとめ
ニュースを見て疲れてしまうことは、真剣に考えている証拠であり、相手の立場を考えている証拠です。
自分を振り返ることで、共感疲労や共感満足の度合いを評価しましょう。自分を知ることが1番有効なセルフケアであり、共感疲労を減少させる効果があります。
自分を知ることが一番のセルフケアだよ!
1日5分でも良いので自分のことを考える時間を確保しよう。
引用・参考文献
- Figley CR(1995 ).Compassion fatigue,Coping with secondary traumatic stress disorder in those who treat traumatized,Brunner/ Mazel,New York,p1-20.
- Stamm BH(2002).Measuring compassion satisfaction as well as fatigue,developmental history of the compassion satisfaction and compassion fatigue test,In Figley CR.(Ed):Treating compassion fatigue,1st ,p107-119,Routlege,NewYork.
- 岸本久美子,瀬戸口ひとみ,香月毅史(2019).看護師の共感疲労と共感満足に関する文献レビュー.秀明大学看護学部紀要 第 1 巻 1 号.
コメント