Last Updated on 2023年3月29日 by カメさん
こんにちは!看護師のカメさん(@49_kame)です。
この記事は3~4分程度で読めます。
今回は看護師の教育について話すよ。今回は研修や教育を評価する指標について解説します。
看護研修・教育では、講習会などの最後に満足度のアンケートを聴取して終了となることが多くあります。
しかし、これだけだともったいありません。せっかく頑張って研修・教育を実施したのだから、最後まで評価して学習効果を確認しましょう。
学習効果を評価することで、次の研修・教育に繋がります。
「カークパトリックの4段階の評価モデル」とは研修の効果を測定する枠組み
カークパトリックの4段階評価モデルとは?
Donald kirkpatrickが1959年に公表した、研修・教育の評価、効果測定の枠組みです。近年、教育効果の向上やコストの削減への関心が高まり、注目されています。
研修において評価するべき項目がレベル別に分かれています。
カークパトリックの評価モデルのポイントは学習到達度の評価で終わらずに職場での行動変容や企業成果まで視野に入れていること。
このポイントが注目され、教育現場だけではなく企業の人材開発部門等で注目されるようになりました。
カークパトリックの評価モデルには4つのレベルがある
「レベル1:Reaction」は研修満足度を測定する
レベル1のReactionは受講者の反応を評価します。つまり、研修に対する好感度です。
受講者が研修にどのくらい満足したかを評価しましょう。
「レベル2:Learning 」は学習到達度を測定する
レベル2のLearningでは研修における学習成果を評価します。
レベル1のReactionがどれだけ良くても、十分に学ぶことができたかは分からないので、学習目標への到達度を具体的に評価します。
レベル2が向上したことにより、レベル1で高得点(満足)が得られるような研修が理想だね。
「レベル3:Behavior 」は研修後の職場での行動変容を評価する
レベル3のBehaviorは研修で学んだことが、職場に戻った際に活かされて、受講者の行動が変わったかどうかを評価します。
レベル2の学習到達度が高くても、レベル3の行動変容が低ければ、職業における教育としては意味のない研修ということになってしまいます。
成人学習においては、役に立つ教育が求められます。
役に立つ教育 = 業務で活かせる教育
評価を設計する段階から行動変容を視野に入れることで役に立つ研修を目指していこう!
「レベル4 : Results 」は組織への成果到達度を評価する
レベル4のResultsでは研修を行ったことにより組織に対してどのような価値をもたらしたかを評価します。
つまり、レベル3の研修参加者の行動変容が組織に対してどのような良い影響を及ぼしたかを評価する段階になります。
レベル4を向上させるような研修を作成することは難しいのが現状です。具体的な評価方法は下記で説明します。
4つのレベル毎に評価が異なる
「レベル1:Reaction」研修満足度は主にアンケートで評価する
研修満足度は主にアンケート調査で評価します。
今後の研修をより良いものにするためには、レベル1の評価結果の分析が重要となるので、レベル1の評価項目でもしっかりと吟味しましょう。
看護の研修では、レベル1の評価で終わってしまうことが多くあるよ。
「レベル2:Learning」 学習到達度はテストで評価する
学習到達度は、知識を確認する筆記テストや技術を確認する実技テストなどで具体的に評価します。
学習到達度を適切に測定するためには、研修で教えたい知識や技術がどのようなものなのかが明確になっている必要がある
研修を事前に設計する段階で、学習到達度をするポイントを明確にしておきましょう。
またテスト自体も、本当に目的とする学習到達度を評価できるものなのかを慎重に確認しましょう。
テストを作る時は複数で吟味して作成しよう。自分が専門外ならば必ず専門家の意見をもらおう。
「レベル3:Behavior」 行動変容はフォローアップ調査で評価する
行動変容は、研修後のフォローアップ調査や所属上長へのアンケート調査や聞き取り調査で評価します。
研修終了後数カ月してから、応用の知識・技術のテストを行うことで知識の定着を評価します。また受講者へのアンケートとして、行動変容ができたと思う経験をレポートとして記述してもらうなどのフォローアップ調査も有効です。
知識や技術は研修後すぐだと高得点であることが一般的だよ
さらに、行動変容の客観的評価として受講者の所属する部署の上司から、アンケートやインタビューにて受講者の行動が変わったかどうかを調査することも有用です。
行動変容の評価は、主観的評価と客観的評価を組み合わせることが重要です。行動変容は評価が難しいため、一側面の評価だけではなく、360度の評価をするようにしましょう。
「レベル4 : Results」成果到達度は、費用対効果で評価する
成果到達度はROIという費用対効果で測定することが推奨されています。お金について測定することで、組織へどのくらい貢献したかが分かりやすいですからね。
しかし、研修で学べることが直接利益に影響しないことも多いため、このレベルを評価することが一番難しいと言われています。特に医療においては教育成果が直接病院の利益(お金)に影響しないことが多いと思います。
組織への貢献として患者満足度やアクシデント数の減少などにより組織への貢献を評価しても良いと思うよ。
まとめ
「今までもこのような視点で評価してきたよ!」という方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、カークパトリックの4段階評価モデルのような形式化されたモデルを使用することで、どのような時にも研修を包括的に評価することができるようになります。
ポイントは研修終了後の1時点だけではなく、研修終了後から職場に戻った後のフォローアップや、組織への影響などマクロな視点で研修を評価しているところです。
看護師は研修を作るのが上手いですが、評価が出来ていない例が多いからもったいないね。
ぜひ次の研修から、この4段階の評価モデルを利用してみてください。
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引用・参考文献
- 中原淳(2006).企業内人材育成入門 人を育てる心理・教育学の基本理論を学ぶ.ダイヤモンド社,東京.
- 鈴木克明(2015).研修設計マニュアル: 人材育成のためのインストラクショナルデザイン.北大路書房,東京.
- Kirkpatric, D. L. and J. D. Kirkpatric (2005) Evaluating Training Programs : TheFour Levels pp. 21-62 Berrett-Koehler.
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