カメさん

救命センターで看護師を10年→育児休業→大学院で教育心理学と教育工学を中心に学習中。主な研究テーマは看護師の成人学習。目標は研究を楽しみながら看護を発展させること。現場の看護師さんが研究や実践ですぐに使える情報を届けたいと思っています。資格は看護師/保健師/統計士。看護研究や大学院進学等、何でもご相談ください!ご連絡は問い合わせフォームやTwitterのDMよりお願いします。

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【ガニェの9教授事象とは?】看護教育の悩みを解決「理論的に教育を計画しよう!」

看護教育

こんにちは!看護師のカメさん(@49_kame)です。

この記事は5分程度で読めます。

カメさん
カメさん

今回はインストラクショナルデザインのモデルの1つである、ガニエの9教授事象について解説します。

インストラクショナルデザインとは?

インストラクショナル・デザイン(lnstructiOnal Design: ID )とは、教育活動の「効果・効率・魅力」を高めるための手法を集大成したモデルや研究分野、またはそれらを応用して学習支援環境を実現するプロセスのことを指します。

IDには様々な理論があり、代表的な理論を下記の記事にまとめているので興味のある方は参照してください。

ガニェの9教授事象とは?まずは概要を解説

まずはガニエの9教授事象の概要について説明します。

ガニエの9教授事象とは、「9つの学びの支援」

ガニェ(2007)は指導過程(授業や教材など)を「学びを支援するための外側からの働きかけ(外的条件)」と捉えました。

その働きかけとして、3段階・9つの働きかけを提案したものが「ガニェの9教授事象」です。

以下が3段階・9つの働きかけです。

ガニェの9教授事象
<導入>
1:学習者の注意を喚起する
2:学習目標を知らせる
3:前提条件を確認する
<展開>
4:新しい事項を提示する
5:学習の指針を与える
6:練習の機会を設ける
<まとめ>
7:フィードバックをする
8:学習成果を評価する
9:学習の保持と転移を促す
カメさん
カメさん

働きかけとは、つまり学習支援だね。9つの働きかけについての詳細は下記で解説しているよ。

ガニェの9教授事象は、「学習計画の設計図」

インストラクショナルデザインでは学習計画の際に、「入口」と「出口」を決めることが重要と言われています。学習の「入口」とは、学習者の特性を分析することであり、学習の「出口」とは、学習目標を明確にすることです。

そして、「入口」と「出口」の 2 点を結ぶものが「方法」であり、ガニェの9教授事象です。

カメさん
カメさん

ガニエの9教授事象は、学習目標に到達するための設計図とも言えるね。

学習は、教育者の経験則により構成されることが多くあります。経験則に頼ると、効果・効率が半減する可能性が高いです。

ガニエの9教授事象のようなインストラクショナルデザインの考え方を基に、構造的に学習を企画し、効率的に効果の高い学習を設計しましょう。

カメさん
カメさん

経験則を否定するわけじゃないよ。経験則と学習理論を融合が重要だよ。

ガニェの9教授事象を活用するメリットは?

ガニェの9教授事象を活用することで、以下のようなメリットがあります。

  • 教育者-学習者間の相互作用により学びが活性化する
  • 自ら学ぶ学習者を育成することができる

教育者-学習者間の相互作用による学びが活性化する

ガニエの9教授事象を基に学習を設計することで、フィードバックなどにより、教育者と学習者の間の相互作用を期待できます。また、学習にグループ活動を取り入れることで、学習者同士の相互作用も期待できます。

自ら学ぶ学習者を育成することができる

インストラクショナルデザインによる学習計画の目的の1つに「自ら学ぶ学習者」の育成があります。

カメさん
カメさん

自ら学ぶ学習を、自己調整学習と言うよ。

構造的な学習設計は、自分で勉強する学び方の会得も促進します。自分で学ぶことができた体験は成功体験として自信に繋がります

結果として、実施した学習計画を離れた後も、自ら疑問を持ち・解決するようになり、自律した学習者へと成長します。

自己調整学習とは?

1990年代に教育心理学者のZimmerman(ジマーマン)提唱した理論です。Self‐Regulated Learningの頭文字を取って、SRLとも言われます。

学習者が能動的に学習活動に関わるとともに、自らの学習を調整していく学習」のことです。

カメさん
カメさん

成人学習理論にも同じような学習理論があって、自己決定型学習と言われているよ。

ガニェの9教授事象の「3段階・9つの働きかけ」を1つ1つ解説

それではガニェの9教授事象における、3段階・9つの働きかけを解説していきます。

段階1:導入

導入のステップでは、学習者が新しい学習を行う準備を整えます。

学習者に対して、学習が始まることを知らせて、注意を喚起します。さらに学習目標を具体的に示すとともに、学習済みの知識やこれまでの経験を思い出してもらうことが重要となります。

働きかけ1:学習者の注意を喚起する

学習のはじめに、学習に集中させるための仕組みを用意します。

「これから学習するぞ」という気持ちを持ってもらうステップです。

例えば

フィジカルアセスメントの研修の場合、「病棟で良くある事例を提示」したり、「急変の場面を紹介する」など、注目を集める工夫をします。

働きかけ2:学習目標を知らせる

その学習で行う学習目標を提示します。

例えば

「今日の研修では、フィジカルアセスメントによる重症度の評価ができるようになることを目標とします」などの形で具体的な目標を提示します。

カメさん
カメさん

目標は具体的にしよう。何をゴール地点とするのかを明示することが重要です。

働きかけ3:前提条件を確認する

この学習の学習目標を達成するためには、どのような知識が必要かを思い出させます。

例えば

上記の目標であれば「今回はー-を目標にします。前回ー-を行いましたが覚えていますか」などの声掛けを行います。

カメさん
カメさん

前回の復習のステップだね。今回が初回の研修であれば、今までに学んでいるであろうことを想起できるような言葉かけをしよう。

段階2:展開

展開のステップでは、大きく分けて 2 つのことが重要となります。

1つ目が、情報の提示です。学習者が新しい事項を記憶に組み込む作業です。2つ目が、学習への誘導です。これは、学習者に新しく組み込まれた知識や技能を、実際に使用する作業です。

働きかけ4:新しい事項を提示する

新しく学ぶことを提示します。つまり今回の学習で初めて扱うことを学習者に伝えます。

例えば

上記の例を基に考えると、「それではー-の方法について示します」などです。

働きかけ5:学習の指針を与える

学習目標を達成するためのヒントを与えることです。

例えば

例えば「ー-の方法において注意するポイントはー-です」などです。

働きかけ6:練習の機会を設ける

学んだ学習内容を練習することです。このステップでは、間違いを気にせず出来るだけ多く練習を積んでもらうことが重要となります。

例えば

例えば「ー-の方法について演習を行います」などです。

段階3:まとめ

まとめのステップは、学習の締めくくりです。

学習成果を評価するとともに、学習の保持と転移を促します。

働きかけ7:フィードバックをする

学習内容を練習した結果について振り返りを行います。間違えた場合に、なぜ間違えたかを指摘することが重要です。

カメさん
カメさん

なぜ間違ったかをしっかりと知らせることが重要だよ

例えば

例えば「あなたがこの事例で、急変に気付けなかったのはー--だからです」など。

働きかけ8:学習成果を評価する

テストを使って、どれだけ学習できたかを評価します

例えば

例えば「フィジカルの基礎知識を筆記テストで評価した後に、模擬事例を基に実演して頂きます」など。

働きかけ9:学習の保持と転移を促す

今回の学習で実施した内容について、忘れてしまう頃にもう一度確認すること。

例えば

例えば「研修で実施した内容を、あなたの所属する職場で実践してください」などの課題を2-3カ月後に提示することで、復習を促します。

カメさん
カメさん

研修を研修で終わらせず、必ず復習の機会を提供しよう

保持と転移とは?

学習の「保持」とは、記憶として知識を蓄積することを意味します。

学習の「転移」とは、その蓄積された知識を用いて、他の問題などに応用することを意味します。

カメさん
カメさん

研修で学んだことを実践で活かすことは、学習の保持と転移だね。

ガニェの9教授事象を活用した文献を紹介

ここからはガニェの9教授事象を活用した文献を2つ紹介します。

文献1:指導者が使用するチェックリストへの活用

これは、心肺蘇生法講習会の1つであるICLSコースで、指導者が自身の指導を評価できるチェックリストを作成し報告した文献です。

カメさん
カメさん

ICLSとは、日本救急医学会が作った心肺蘇生法獲得のための講習会だよ

「指導者が自分の指導を評価するためのチェックリスト」を作成するためにガニェの9教授事象を使用しています。指導者がガニエの9教授事象を活かしたチェックリストを使用することで、自分の指導内容を短時間で評価することができます。

この文献ではチェックリストの有効性も検討しています。指導者が、このチェックリスト複数回評価することでどのような変化が現れたかを検討しています。

指導者の総得点は初回と比べ2回目において有意に高い評価がされました。つまり、このチェックリストを用いることで、指導者は目標の達成度を自ら評価・改善できたと考えられます。

カメさん
カメさん

現場で系統的に自己評価できたら指導力が向上しそうだね

文献2:患者教育支援プログラムへの活用

この文献は、パーキンソン病患者の体の動きの改善とQOL 向上を目的とした健康支援教育プログラムを開発し、その効果についてランダム化比較試験によって検討した研究です。

健康支援教育プログラムを開発する際にガニェの9教授事象を活用しています。このプログラムは、タンゴセラピー(ダンスセラピー)をオンデマンド方式で配信して、テレビ会議システムを使ってフィードバックするという内容です。

このプログラムの効果を検証した結果、参加者は歩くことに自信が持てるようになり、歩行が安定しました。体の動きが改善したことにより、日常動作が広がりQOLも改善しています。

著者は、ガニェの9教授事象をプログラムに活用した結果、目標の提示・学習活動・フィードバック・復習のスモールステップが繰り返されたことにより 「自分でもできる」という自己効力感が高まったと考察しています。

カメさん
カメさん

インストラクショナルデザインを活用することで、効率的・効果的な教育支援プログラムが作れるね。

まとめ

ガニェの9教授事象の内容自体は、目新しいものではありません。

しかし、実際の学習計画に当てはめてみると、足りないステップや余計なステップが見えてくると思います。

学習設計は経験則だけではなく、理論に基づいて体系的に行うことが重要です。それをサポートするツールがガニエの9教授事象であり、インストラクショナルデザインです。

カメさん
カメさん

理論に基づいて行うと、研修が上手くいったかを評価する時も、各段階で評価できるから効果的・効率的に評価することができるよ。

引用・参考文献

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