Last Updated on 2023年12月28日 by カメさん
こんにちは!看護師のカメさん(@49_kame)です。
今回は、効果的な測定用具かどうかに関する用語である「信頼性・妥当性」について解説するよ。
研究においては重要なことの一つに、どのように情報を収集するかということがあります。
どのように情報を収集するか、つまりどんな測定用具を使うかということです。測定用具の質は、そのまま研究の質に直結します。
これはクリティークのポイントにもなるよ
研究における測定用具とは?
研究における測定用具、つまりデータを収集する方法について説明します。データを収集する方法は主に以下の2つがあります。
データを収集する方法は?
①機械や評価用紙(チェックリストやアンケート用紙)などの道具を用いる場合
②研究者自身が測定用具になる場合(質的研究)
信頼性・妥当性とは?
研究で使用される測定用具は、測定対象に対して、正確に偏りがなく、客観的かつ効果的に測定できることが求められます。
信頼性・妥当性とは、それらを評価する際に使用される用語です。
質的研究の測定用具とは?
測定用具は機械や評価用紙などの道具の場合は、信頼性妥当性を確認するための明確な手続きがあります。
しかし質的研究において研究者が測定用具となる場合は、信頼性・妥当性を保証するのが難しくなるので慎重に行いましょう。
質的研究において信頼性・妥当性を保証するためには測定用具である研究者が、対象とする分野に精通していることなどが挙げられます。
信頼性・妥当性を表現した図
信頼性・妥当性の説明に、下記のような図を用いて説明することが多くあります。
的の中心が「真の値」、黒い点が「得られたデータ」です。
信頼性とは?
信頼性とは?
- 簡単に言うと、一貫性のある結果が得られるかどうかの指標
- 信頼性を確かめる方法には、安定性・内的整合性・同等性などがある
信頼性を評価する方法
信頼性の指標「安定性とは?」
安定性とは?
複数回測定しても一貫したデータを収集できるか評価する指標
安定性を評価する方法には再テスト法があります。これは、同じ対象に同じテストを2回行い、得られたデータの相関係数を算出し、それを信頼性係数として示します。
再テスト法は簡易的に信頼性を評価することができますが問題もあります。
再テスト法の問題点とは?
①1回目と2回目のテストの間に気分の変化などがあった際に影響が出てしまう評価用紙
②再テストの期間が短く、アンケート内容を記憶してしまっている
便利な反面、問題点もあるから注意しよう。
信頼性の指標「内的整合性とは?」
内的整合性とは?
測定尺度の全ての項目が、測定しようとしている事象をどれだけ反映しているかを評価
内的整合性を評価する方法として一般的なものがクロンバックα(Cronbach’s α)係数です。これは、項目間の相関度を示したものです。
クロンバックα(Cronbach’s α)係数に基準値はあるの?
クロンバックα(Cronbach’s α)係数は、通常は0.8以上あれば一貫性があるとみなされます。
信頼性の指標「同等性とは?」
同等性とは?
同じ対象の同じ特性について測定する際の測定用具の信頼性を評価する方法
同等性の評価は、一般的に観察者間信頼性という方法で評価されます。これは、2人以上の評価者が同時に同様の評価方法で評価して、その一致度を評価する方法です。
観察者間信頼性の問題点は?
人を用いた評価方法であるため、当然の能力の差が問題になります。評価者はそれぞれ、評価方法について十分に訓練を積んだ上で評価を行うなどの工夫が必要になります。
妥当性とは?
妥当性とは?
- 簡単に言うと、平均すると正しい値を取れるかどうか、つまり真の値に近い値を取れるかどうかの指標
- 妥当性を確かめる方法には、内容妥当性・基準関連妥当性・構成概念妥当性などがある
妥当性を評価する方法
妥当性の指標「内容妥当性とは?」
内容妥当性とは?
適切な評価指標かどうかを主観的に評価する方法
通常は対象とする分野の専門家複数名による判断の一致度により評価します。
妥当性の指標「基準関連妥当性とは?」
基準関連妥当性とは?
既存の評価指標と比較して相関を求めることで評価する
評価する時期で併存的妥当性と予測的妥当性の2つに分けることができます。
基準関連妥当性を評価時期により分類
①併存的妥当性とは?
同時点で測定します。新しく開発した評価指標と既存の評価指標の関連などを同時に調べます。
②予測的妥当性とは?
新しい評価指標を先に実施して、その後で既存の評価指標を実施します。そうすることで、新しい評価指標が、将来の事象を適切に予測できるかどうかを評価します。
妥当性の指標「構成概念妥当性とは?」
構成概念妥当性とは?
測定しようとする概念や特性をどれだけ適切に反映しているかを評価する
構成概念妥当性を評価する方法として収束的妥当性と弁別的妥当性があります。
構成概念妥当性を評価するための2つの方法
①収束的妥当性とは?
理論的に関連の強い構成概念を測定する指標との相関が高いかどうかを確認する。
②弁別的妥当性とは?
理論的に関連の弱い構成概念を測定する指標との相関が低いかどうかを確認する。
また、看護研究においては評価用紙を用いることが多いため、因子妥当性も構成概念妥当性の一部として使われます。
因子妥当性とは?
因子妥当性とは?
- 因子妥当性とは尺度の持つ因子構造から推測される妥当性
- 因子分析の手法を用いて、尺度が想定された概念通りの因子構造を有しているかを確認する手法
因子妥当性を評価する方法には、探索的因子分析と確証的因子分析があります。
因子妥当性を評価するための2つの方法
①探索的因子分析とは?
因子構造を規定せずに得られたデータに因子分析を適用して、データの特徴と項目間の関係つまり因子構造を探究する。
②確証的因子分析とは?
あらかじめいくつかの因子構造を設定して因子分析を行い、モデルの当てはまり具合を確認する。
まとめ
測定用具の質を確認する方法について理解できましたでしょうか。信頼性・妥当性を検証することにより、一貫性があり真の値を測定できる測定用具かを評価することができます。
測定用具の質は、論文の質を評価する1つの指標です。論文を読む際は、研究で使われている測定用具の信頼性・妥当性を確認してみてください。
自分が研究計画を立てる際はPI(E)COのIやEで、具体的に測定用具の信頼性・妥当性を検討するようにしましょう。
参考・引用文献
- 堤 明純(2009).心理社会的要因の測定2「心理特性Ⅱ 妥当性」.日本公衛誌,56(5).
コメント