Last Updated on 2023年12月28日 by カメさん
こんにちは!看護師のカメさん(@49_kame)です。
この記事は10分程度で読めます。
今回は統計解析結果の1つである95%信頼区間について解説するよ
95%信頼区間とは?
95%信頼区間(Confidence Interval)とは?
- 論文では95%CIと表記されることもある
- 複数回同じ研究を行った場合に、そのうち95%の研究でこれくらいの範囲を取ると推測できる範囲のことを示す
- 母集団の値(統計解析で推測しようとしている値)が、95%の確率で入る範囲(区間)を表す
テストの点数の平均が65点、標準偏差(ばらつき)10点の正規分布に従う母集団があるとします。
この母集団から無作為抽出でA群とB群の2群をn人抽出して平均値の差(A群の平均ーB群の平均)を求める研究を複数回行ったとします。そして1000回研究を行い、平均値の差(A群の平均ーB群の平均)のデータが1000個できたと仮定してください。
この時、平均値の差(A群の平均ーB群の平均)のデータを小さい順に並べて25番目(0.025%)から975番目(0.975%)の範囲が12.5点~22.5点だとします。この範囲は1000個のデータのうち950個のデータなのでデータの95%のデータです。つまりこれが95%信頼区間です。
95%の理由は?
慣例として有意水準5%が使われているため、95%信頼区間を使用することが多いですが、90%でも99%でも問題ありません。
95%信頼区間の求め方は?
ほとんどの統計ソフトで95%信頼区間を出力してくれるので、出力結果の読み方だけ分かれば問題ありません。
統計解析の出力結果で「95 percent confidence interval」と記載されている項目に注目してください。
95%信頼区間の解釈は?
「平均の差の検定」と「相関係数」の95%信頼区間の解釈について解説します。
95%信頼区間では差の程度や関連の程度も解釈することができます。
平均の差の検定の場合の95%信頼区間
2群の体重(㎏)の平均の差の検定結果でp<0.01、95 percent confidence interval:15.00553 25.44221と出力された場合を考えます。
これは2群に有意な差があり、同じ研究をした複数の研究者の95%が15.00553~25.44221の差の範囲に入るだろうと予想できます。最低で15.00553 、最高で25.44221の差を臨床的に考えて有意義な差かどうかを検討します。今回の指標は体重なので、臨床的にも有意義な差がありそうですよね。
臨床経験の見せどころだよ。統計解析だけに頼らず、自身の臨床経験を基に結果を解釈しよう。
2群の血圧(mmhg)の平均の差の検定結果でp<0.01、95 percent confidence interval:1.50553 4.44221と出力された場合を考えます。
これは2群に有意な差があり、同じ研究をした複数の研究者の95%が1.50553 ~4.4422の差の範囲に入るだろうと予想できます。今回の指標である血圧で考えると、最低で1.50553、最高で4.44221の差が臨床的に有効な差かどうかを検討します。この程度の差であれば臨床的には有効な差では無さそうですよね。
95%信頼区間(差の程度)を解釈することで、有意な差だからといって有効な差であるとは限らないことが分かったね。
95%信頼区間が0を跨がなければ有意差あり
2群の差の95%信頼区間が0を含まなければ、有意差があると結論されます。これは P<0.05 に相当します。
例えば95%信頼区間が3.2132~6.5431は有意差あり。95%信頼区間が-2.5566~5.4322は有意な差が無いと判断します。
ちなみにオッズ比のような比率の場合は、95%信頼区間に1を含まなければ有意差があると結論されます。
相関係数の検定の場合
2変数の相関係数の検定結果でp<0.01、r=0.51087、95 percent confidence interval:0.44264 0.60021と出力された場合を考えます。
これは2変数に有意な相関があり、r=0.51087とかなり相関がある考えられます。そして同じ研究をした者の95%が0.44264 ~0.60021の範囲に入るだろうと予測できます。つまり、最低でもかなり相関がある結果だと判断できますね。
差の程度や関連の程度まで見れるから、95%信頼区間は絶対に確認した方が良いね。
※正規分布に従う場合にのみ95%信頼区間が使用できる
95%信頼区間は正規分布に従う際のパラメトリック検定の場合にのみ出力されます。
つまりノンパラメトリック検定では95%信頼区間は出力されず、差の程度を推測することができません。
95%信頼区間を出力するためにも正規分布のデータを収集してパラメトリック検定を適用させたいね。
実際の論文
今回紹介する論文は科学的根拠(ガイドラインとデータベース)の利用に関する論文です。
下記の図は多重ロジスティック回帰分析の結果です。オッズ比の95%信頼区間を見てみましょう。
95%信頼区間で1をまたがない項目は有意であることがわかります。
例えば従属変数「論文データベース利用」と独立変数「CT 得点」を見てみると、OR(オッズ比): 2.47, 95%CI: 1.58~ 3.85で有意に関連しています。
差の結果で95%信頼区間を提示している論文は少ないね。ほとんどがオッズ比95%信頼区間を示した論文だったよ。
まとめ
P値(有意水準0.05)と95%信頼区間で推定した結果は一致します。つまりどちらも有意な差があるかを判断することができます。
しかし、95%信頼区間では差や関係性の程度も見ることができます。95%信頼区間の方が情報量が多いということです。
有意水準だけではなく95%信頼区間を確認しましょう。また、95%信頼区間を確認する際に臨床的に有効な差であるかどうかも確認できたら完璧だね。
引用・参考文献
- 対馬栄輝(2020).医療統計解析使いこなし実践ガイド.羊土社,東京.
- 対馬栄輝(2019).医療系研究論文の読み方・まとめ方.東京図書,東京.
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