Last Updated on 2023年12月28日 by カメさん
こんにちは!看護師のカメさん(@49_kame)です。
この記事は5分程度で読めます。
今回は標本と母集団について解説します。
一般的な研究は、大きな集団(例えば関東の大学病院など)の特性を把握するために行います。そのためには大きな集団に所属する全ての人に調査を行うことが理想です。それが以下で説明する全数調査です。
しかし、全数調査は負担が多きというデメリットあります。そのためほとんどの研究が、大きな集団から一部を抜き取り調査する標本調査という方法を行います。これは研究を行う上で基盤となる考え方です。科学的根拠のある研究を行うためにも、しっかりと把握しておきましょう。
「全数調査」と「標本調査」について解説
統計調査には上記の通り、全数調査と標本調査の2つがあります。
「全数調査」とは?
全数調査とは、対象とする集団、全てに対して調査を行う調査です。
全数調査の代表は国勢調査です。
国勢調査では、日本に住んでいるすべての人・世帯を対象とします。
「標本調査」とは?
標本調査とは、対象とする集団の、一部だけを調査して全体を推測する調査です。
標本調査ではテレビの視聴率が有名です。
モニターとなった一部の世帯のテレビに計測器を付け、どの時間帯に何の番組を見ていたのかを計測する標本調査です。
「全数調査」と「標本調査」はどちらが良いの?
正確な調査は全数調査ですが、費用や負担の面から実現性が低いことが多いです。そのため一般的な研究では、全体から一定数の対象を抽出して調査を行う標本調査が採用されます。
標本調査の際の「対象集団」と「抽出された集団」の関係が、これから解説する「母集団」と「標本」の関係と同じです。
「母集団」と「標本」とは?
研究にてデータを収集する際は、「母集団」と「標本」を設定します。そして前述の通り「標本」から「母集団」を推定します。推定する際は、「標本平均」を求めて「母平均」を推定します。
看護師10名からなる対象者n=10は、全国の看護師n=∞の「母集団」から抽出された10名(標本)と考えます。
対象となる看護師10名の平均(標本平均)を求めてから、統計解析を行うことにより、全国の看護師の平均(母平均)を推測します。
「母集団」と「標本」にも分類がある?
上記の母集団と標本の解説を理解したら、次は母集団と標本の分類についても理解しましょう。
母集団の分類:「目標母集団」と「調査母集団」
母集団には「目標母集団」と「調査母集団」の2つの分類があります。
標本の種類:「計画標本」と「有効標本」
標本には「計画標本」と「有効標本」の2つの分類があります。
下記の図のように、「有効標本」を基にして「推測統計や理論的推論」を行い、「目標母集団」の特徴を推測するのが量的研究だよ。
標本を抽出する際のポイント:「外的妥当性(一般化可能性)」
母集団から標本を抽出する際に考慮しなければいけないことに「外的妥当性」があります。
看護研究であれば、研究で得た知見を、今回の調査対象者より広い「患者集団」や「看護師集団」に応用できる結果となることが理想ですよね。そう考えると、外的妥当性の高い研究は、社会的にも意味のある研究だと言えます。
外的妥当性を高めるためには?
外的妥当性を高めるために最も有効な手段は無作為抽出です。しかし、無作為抽出には様々な制約があり実現が難しい場合がほとんどです。
無作為抽出が難しければ、研究デザインを決める段階で適格基準と除外基準を明確にすることが有効です。
標本を調査する際のポイント:測定方法の正確性
標本を調査するだけで、母集団のことをある程度推測できます。ここで重要なことは「どの程度正確か」ということです。
「どの程度正確か」とはつまり、「どの程度正確な測定用具を使っているか」ということです。
正確な測定用具の指標に「信頼性」と「内的妥当性」があります。
信頼性とは、調査によって測定される結果が一貫しているかどうかの指標です。
内的妥当性とは、調査で測定しようとしている内容を、確実に測定しているかどうかの指標です。
まとめ
母集団と標本について正しく理解することで、1つの研究結果を他の集団に当てはめることができる可能性が上がります。それはつまり社会的に意義のある研究になるということです。
業務改善のための目の前の集団のみを対象とした調査だけでなく、広い視野を持った研究を行うようにしましょう。
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