Last Updated on 2023年7月19日 by カメさん
こんにちは!看護師のカメさん(@49_kame)です。
この記事は4~5分程度で読めます。
今回は研究疑問をさらに洗練させる方法を説明するよ
臨床疑問から研究疑問を構造化する際にPICOやPECOを使用することが重要ですが、今回解説するFINER /FIRM²NESSを使用すれば、更に質の高い研究疑問を作ることができます。
研究疑問とは?
看護研究を進める上で、まずは臨床疑問を研究疑問に構造化する必要があります。
臨床疑問とは?
普段の臨床で感じている疑問や悩みなどのこと
研究疑問とは?
臨床疑問を研究によってどのように明らかにするかを、PICOやPECOを活用して構造化したもの。
臨床疑問から研究疑問に構造化する方法について詳しく知りたい方は下記のリンクを参照してください。
また、PICOやPECOにつて詳しく知りたい方は下記のリンクを参照してください。
FINER(FIRM2NESS)のチェックリストで研究疑問を洗練させる
FINER(FIRM2NESS)とは?
良いリサーチクエスチョンが満たすべき条件
FIRM²NESSとは?FINERと何が違うの?
FIRM²NESSは京都大学の福原先生という方が提唱されました。FINERにMeasurable(測定可能)、Modifiable(改善可能)、Structured(構造化されている)、Specific(具体的である)を概念として追加したものです。
FINERのパワーアップ版だね。
FIRM2NESSのポイントを解説(FINERも含まれるから同時に解説するよ)
Feasible「実施可能性」
この研究は実現可能なのかを評価します。ポイントを以下にまとめました。
- データを取得する方法は問題ないか
- サンプルサイズ(対象者数の現実性・統計学的な有効性)は問題ないか
- 研究資金は問題ないか
- 倫理性は問題ないか
研究を計画しても実現できないのであれば意味がありません。統計的に意味があるのかも含めて、実際に研究する過程を想像しながら評価しましょう。
Interesting「科学的興味深さ」
誰もが興味を持つ研究テーマかを評価します。ポイントを以下にまとめました。
- 自分が興味深い疑問が明らかになるか
- 誰もが興味深い疑問が明らかになるか
Novelの新奇性(新しい知見)と似ていますが、新奇性があっても誰も興味を示さない研究では意味がありません。また、新奇性が無かったとしても多くの人が興味を持つ疑問が明らかにされるのであれば、十分意味がある研究だと思います。
自分が興味深いと思えることも大事だよ
Novel 「新奇性」
先行研究と比較して研究の新しさを評価します。ポイントを以下にまとめました。
- 疑問はどのくらい明らかにされているのか
- 明らかにされていない疑問はなにか
新しさを追い求めすぎると、誰も興味の無い研究になってしまうかもしれません。しかし、同じような研究の分野でも視点を変えれば十分に新しい研究となります。色々な視点から研究テーマを吟味しましょう。
特に看護の場合は医学のような新しい研究テーマが出づらいね
Ethical「倫理性」
倫理的に許容される研究か否かを評価します。ポイントを以下にまとめました。
- 侵襲性は問題ないか
- 同意取得の方法は問題ないか
- 個人情報の保護は問題ないか
厚生労働省より「疫学研究に関する倫理指針」や「臨床研究に関する倫理指針」が出されているので確認しましょう。
Relevant「必要性」
真に必要な疑問であるかを評価します。ポイントを以下にまとめました。
研究疑問を検討する上で一番重要な点だと思うよ
- 誰にとって必要な問題なのか
- どれだけ重要な問題なのか
看護研究であれば、「誰にとって」というのが研究者自身ではなく、「患者さん」や「看護師・看護学生」「医療・看護」「社会」であることが重要です。
Measurable「測定可能性」
疑問を解決するために調べようとしている要素が測定可能か否かを評価します。ポイントを以下にまとめました。
- 調べる要素は測定可能か
- 量的研究であれば変数(独立変数・従属変数)として扱えるか
- 測定用具の信頼性・妥当性は問題ないか
測定用具の信頼性・妥当性について詳しく知りたい方は下記を参照してください。
Modifiable「改善可能性」
要因を変化させることで、結果が改善できるような研究か否かを評価します。ポイントを以下にまとめました。
- 要因は改善可能か
- 要因により改善できる結果か
例えば、要因が年齢で結果が自己効力感である調査をしたとします。この時に、要因が結果に影響するという結果が出たとしても、要因である年齢を変えることができないので結果を改善させることができません。要因を学習頻度などにすれば、改善可能な要因であり適しているかもしれません。
研究のための研究にならないようにしよう。あとは文献検討で仮説を吟味することも重要だね。
Specific 「具体性」
研究疑問が具体的に設定されているかを評価します。ポイントを以下にまとめました。
- 対象は具体的か
- 方法は具体的か
- 要因は具体的か
- 結果は具体的か
例えば「高齢者のうつについて調査する」といった研究疑問だと、対象である高齢者の条件や、うつが要因なのか結果なのかなどが分かりません。
研究疑問を作る段階から、研究計画を見据えて具体的に検討しよう
Structured「構造化」
研究疑問が構造化されているかを評価します。ポイントを以下にまとめました。
- PICOやPECOで表現できるか
具体的で構造化された研究疑問を設定することで、論旨の一貫した研究になります。また他人に伝えることも容易になります。
Specificと合わせて評価しよう
まとめ
研究はとにかく準備が重要です。大変な思いをしてせっかくデータを取ったのに、良い結果が得られなかったり、研究として成り立たなかったら、自分にも協力して頂いた方にも不利益となります。
PICO・PECO・FINER・FIRMNESSを使用して入念なチェックをしましょう。
頭の中で思い描くだけじゃなくて、それぞれの項目について書き出して視覚的に検討することが大事だよ
PICO・PECO・FINER・FIRMNESSはクリティークでも使用できるから活用してみてください。論文のクリティークについて詳しく知りたい方は下記を参照してください。
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