Last Updated on 2022年11月13日 by カメさん
こんにちは!救命センターで働く看護師のカメさん(@49_kame)です。
今回は意識障害の患者の観察ポイントを解説するよ。
意識障害は病棟や外来で遭遇する急変として頻度の多い病態だと思います。今回紹介する観察ポイントは診療に関わる内容も含みますが、看護師も理解しておくことが重要です。
意識障害に遭遇したら何をしたら良い?
意識障害の患者に遭遇したら、まずは人を呼びましょう。人を集め、医師と看護師で協力して対応することが重要だよ。
意識障害であってもABCの安定が最優先
意識障害の場合、原因検索が優先される傾向にありますが、バイタルサインの確認を忘れないようにしましょう。
何はともあれABCの安定化です。確実な気道確保・循環動態の安定を行いながら原因検索を行うことが重要です。
ショックでも意識障害になる!
意識障害は脳の器質的病変でも起こり得ますが、循環障害による脳血流の低下によっても引き起こされます。急変時には、意識レベルの低下や痙攣・不穏といった形で意識障害に遭遇します。
また、意識障害は挿管の適応であることも理解しましょう。意識障害により誤嚥や呼吸抑制が生じている場合などは挿管の適応となります。
意識障害は低血糖の否定から始まる
意識障害の原因として、低血糖は速やかに検査可能かつ対応も容易に可能です。しかし、低血糖は治療が遅れると低血糖脳症へと進行するリスクがあります。
意識障害が4時間以上で、不可逆な高次脳機能障害を引き起こすとされており、早期の血糖確認が重要となります。
低血糖を否定してからCTに移動するようにしよう。
重症の低血糖は死に至る?
低血糖性の昏睡では、急性期にエネルギー欠損によるポンプ機能障害や興奮アミノ酸の過剰放出に伴う細胞浮腫・細胞死が生じます。
低血糖状態が5時間以上継続すると、血糖値が回復したとしても、後遺症(意識障害や麻痺)が残存する場合や、死に至ることがあるとの報告もあります。
意識障害の患者の観察事項とは?
意識障害の患者を観察する際のポイントは以下の4つです。
- 意識レベル
- 収縮期血圧
- 瞳孔所見
- 身体所見
意識レベル
意識障害の有無を把握するためには、意識レベルを正確に把握する必要があります。
Japan Coma Scale(JCS)、Glasgow Coma Scale(GCS)を正確に把握して正確に伝えることができるようになりましょう。
JCS2とJCS3の違いは?
周囲の人など変化する状況が分からない場合はJCS2、自宅の電話番号などの不変的な状況が分からない場合であればJCS3です。
JCSは救急隊が使うことが多く、病院内であればGCSを使用することが多いよ
収縮期血圧
収縮期血圧が高く(180mmhg以上)、瞳孔所見の異常(1㎜以上の瞳孔不同もしくは対光反射消失)、突然発症を認める場合は頭蓋内病変の可能性が高いです。
また前述のように、低血圧でショックバイタルの場合も低循環による意識障害を呈します。
意識障害は大動脈解離の可能性もあるよ!
大動脈解離では頭蓋内疾患様の症状を呈する場合があるから注意。瞳孔所見の異常や片麻痺を認めていても血圧が高くない場合は注意が必要です。
意識障害=頭蓋内疾患と決めつけないようにすることがポイントだよ!
瞳孔所見
意識障害の患者には、縮瞳、散大、瞳孔不同、眼球の位置など瞳孔所見を必ず確認するようにしましょう。
縮瞳
瞳孔径が2 mm以下の場合を「縮瞳」と呼びます。
極端な縮瞳を認める場合は、脳幹出血や脳幹梗塞、麻薬、有機リン中毒、アルコール、睡眠薬の可能性があります。
散瞳
5 mm以上の場合を「散瞳」と呼びます。
両側の散瞳は脳死状態や重篤な低酸素脳症でみられます。低血糖による意識障害でも散瞳傾向を呈するため注意してください。
瞳孔不同
瞳孔径に0.5 mm以上の左右差があれば「瞳孔不同」と呼びます。
脳圧が上昇して動眼神経が圧迫されることにより、圧迫された側の瞳孔が散瞳することで瞳孔不同となります。瞳孔不同は脳ヘルニアの兆候です。
例えば片麻痺と、片麻痺の反対側の瞳孔散大、対光反射の消失があれば脳ヘルニアが示唆されます。
前述の通り、瞳孔不同は頭蓋内疾患の可能性を示唆する重要な要素だね。
眼球の位置
眼球の位置は、共同偏視の有無と人形の眼現象を確認しましょう。
共同偏視
両方の眼球が1方向を向いたままになります。眼球の向く位置には、水平方向と垂直方向があります。
片麻痺と、片麻痺の反対側への共同偏視は頭蓋内テント上の脳出血などが示唆されます。また片麻痺と、片麻痺の同側への共同偏視は器質的疾患によるけいれん発作が示唆されます。
人形の眼現象
正常な反射であり、頭を急速に上下左右に動かすと眼球が運動方向とは反対方向に動きます。この反射が無くなると脳幹障害が疑われます。
人形の眼現象が消失して運動方向に眼球が動けば、脳幹の障害が示唆されます。
脳幹の障害の可能性があるならば呼吸抑制が恐いから早期に挿管の準備をしよう。
身体所見
左右差
意識障害において重要な身体所見として左右差があります。
左右差が生じる場合
脳梗塞や脳出血などの脳卒中の場合は、四肢麻痺や感覚障害などにおいて左右差が生じることがほとんどです。
左右差を生じない場合
脳卒中の中でもクモ膜下出血では左右差が生じない、もしくは左右差がわずかであることが多いです。また、低血糖や薬物中毒による意識障害でも左右差が生じません。
左右差が無いからといって頭蓋内疾患を除外しないようにしよう。クモ膜下出血だったら再破裂しないように愛護的にケアをする必要があるからね!
皮膚所見
冷や汗
意識障害の患者が冷や汗を認める場合は、意識障害の原因が低血糖や心筋梗塞、ショックの可能性があります。
低血糖であれば早期に察知できれば対応が容易です。心筋梗塞やショックによる意識障害の場合は、見逃すと急激に状態が悪化するため注意しましょう。
圧挫傷
目撃者の伴う意識障害でない場合、長時間の臥位や座位により圧挫傷を生じていることがあります。
圧挫傷を認める場合には横紋筋融解症による急性腎不全を併発している可能性があり、早期の対応が必要となります。
隠れた重症化の要素を見逃さないようにようしよう!
横紋筋融解症とは?
骨格筋の壊死により、筋細胞内の成分が血管内に流出した状態のことです。
筋細胞内の成分であるミオグロビンが大量に流出し、これが尿細管を閉塞することで急性腎不全を引き起こします。そのため高K血症による心停止に注意が必要です。症状にはミオグロビン尿や乏尿などがあります。
治療は早期の大量輸液や利尿、高K血症対策、血液浄化療法などです。
意識障害患者は外傷検索をしよう
上記の圧挫傷と同様に、受傷状況の分からない意識障害の場合は外傷の可能性を念頭に置きましょう。
注意すべきは頸椎損傷です。返答可能な意識障害の場合は項部正中の圧痛の有無を確認しましょう。顔面の外傷など、頸椎損傷が疑わしい場合は頸部のCTによる評価も考慮します。
意識障害の場合は頭部だけではなく頸部にも注意しよう。
切迫するDとは?
外傷診療において脳ヘルニアを疑う所見を切迫するDと表現します。
切迫するDの基準は?
GCS≦8、急速な意識低下(GCS 2点以上)、ヘルニア徴候(瞳孔不同、片側麻痺、Cushing 現象:高血圧と徐脈)
切迫するDの対応は?
挿管、脳神経外科コンサルト、CT (Secondary survey の最初に脳のCTを撮影する)
まとめ
意識障害の患者に遭遇した場合でも、ABCの安定化が基本となります。
ABCが崩れている場合は致死的な疾患が原因として意識障害を呈している可能性が高いです。
観察ポイントを理解し重症度・緊急度を把握した上で、人員を集め、環境を整えながら治療を円滑に進めることができるように心掛けましょう。
看護師には俯瞰的に状況を正しく理解し、治療環境を調整する能力が求められるよ
引用・参考文献
- 坂本 壮(2015).救急外来ただいま診断中!.中外医学社,東京.
- 林 寛之(2017).Dr林&今の外来でも病棟でもバリバリ役立つ!救急・急変対応(メディカのセミナー濃縮ライブシリーズ).メディカ出版,大阪.
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