Last Updated on 2022年11月13日 by カメさん
こんにちは!救命センターで働く看護師のカメさん(@49_kame)です。
今回は敗血症を発見する方法について解説するよ
敗血症は重症度や緊急度の判断が難しい病態の1つです。しかし敗血症は、見逃すとあっという間に重症化します。
看護師は原因菌の同定や根治治療などは行いませんが(治療の介助はするので、先読みできるようにはなりたいですね)、敗血症の兆候を察知して急変を未然に防ぐことができます。
「敗血症の定義とは」
敗血症の定義は2016年に改定して重症敗血症という言葉が無くなりました。
昔は「全身性炎症反応症候群(SIRS)+感染」がSepsisと定義されていて、「Sepsis+臓器障害」が重症敗血症(severe sepsis)と定義されていました。
臓器障害がキーワードになると思います。臓器障害の指標には以下に示すSOFAscoreがあります。
定義は医療者間の共通言語。定義を覚えると医者も看護師も同じ方向を向いて行動できるようになるよ。
「敗血症を判断するアルゴリズム」
以下に示している図が敗血症を判断するアルゴリズムです。
初期評価としてqSOFAで敗血症の可能性を疑い、敗血症の可能性が高い場合はSOFAscoreにて敗血症かどうかを判断します
敗血症は、早期発見・早期介入が重症化を防ぐために重要と言われていますので、このqSOFAを活用して敗血症を早期に察知することが重要になります。
qSOFAは全てバイタルサインだから、看護師でも時間を掛けず判断できて便利だね。
qSOFAとは?
下記に示しているのがqSOFAです。敗血症の可能性を評価する指標です。
qSOFAを2項目以上を満たすと敗血症の可能性が高いと言われています。
qSOFAで敗血症の可能性が高い場合は、SOFAscoreを評価します。
SOFA scoreとは?
下記に示しているのがSOFA scoreです。敗血症かどうかを判断する際に使用します。
SOFA scoreが2点以上の場合に敗血症と判断します。
SOFA scoreは項目が多いのでポイントを絞ると使いやすいです。
SOFA scoreの3つのポイント
①酸素が必要であれば1点以上(呼吸機能)
②平均血圧が70mmhg以下で1点以上(循環機能)
③軽い意識障害があれば1点以上(中枢神経機能)
これらは、採血結果を待たずに判断することが可能です。
上記の3つのポイントのうち2つが当てはまれば、2点以上に該当しますので敗血症であると判断することができます。
上記の3つのポイントであれば、看護師でもすぐに判断が可能だよ。便利だね!
看護に関する敗血症の研究を紹介
看護師が患者の変化に気付くことが患者の転帰に影響するという研究は、国外では頻繁に行われています。
下記に紹介する研究は、敗血症患者の看護師の記録(血圧の低下)と、患者の転帰(生存群と死亡群)を分析した研究です。
この論文みたいに、看護師が行ったことを分析すると看護師の意義が明確になるね。
結果は、入室後に血圧低下の記録があるのは生存群で有意に高いという結果でした。
患者の病態にもよって結果が異なるため、看護師の優秀さを分析する研究ではありませんが、看護師の仕事を可視化するのは重要なことだと思います。
「参考・引用文献」
- 日本版敗血症診療ガイドライン2020(J-SSCG2020)
- 小林直也,中川敦寛,石垣司,工藤大介,新妻邦泰,川口奉洋,冨永悌二,山内正憲(2017).テキストマイニングによる敗血症患者の看護カルテ自由記載中の語句と転帰に関する検討.日集中医誌,24,631-2.
- 坂本 壮(2015).救急外来 ただいま診断中!.中外医学社,東京.
- 林 寛之(2017).Dr林&今の外来でも病棟でもバリバリ役立つ!救急・急変対応(メディカのセミナー濃縮ライブシリーズ).メディカ出版,大阪.
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