Last Updated on 2023年3月29日 by カメさん
こんにちは!未来予想などの最新技術の話題が大好きな看護師のカメさん(@49_kame)です。
今回は特定行為の側面から看護師の未来を考えるよ。
まずは看護師の特定行為が必要かどうかという問題ですが、私個人の結論としては必要だと考えます。しかし特定行為が求められる背景や問題点を理解する必要があります。
そのため今回は、特定行為が求められる背景や問題点を抑えた上で特定行為の概要や今後の展望について考えてみたいと思います。
特定行為の概要
そもそも特定行為とは何?
看護師業務と、医師による診療の法的位置付けから特定行為について考えてみます。
看護師が行う業務は、保健師助産師看護師法によって「療養上の世話又は診療の補助」と定められています。そして医師による診療は、医師のみしか実施できない「絶対的医行為」と、看護師が「診療の補助」として実施することができる「相対的医行為」に分類されます。
従来は「絶対的医行為」と「相対的医行為」両者の境界が厳密には規定されていませんでした。そこで、相対的医行為のうち高レベルな行為が明確に区別されて「特定行為」として位置付けられました。
特定行為とは特定行為研修を受講し、専門的な知識・技術を身につけた看護師だけが、医師・歯科医師の手順書をもとに実践できる医療行為です。
特定行為を実践するための必要な高度知識と技術を指定機関で学び修了認定を受けた看護師のことを「特定看護師」と呼んだりもするよ。
認定看護師にも特定行為研修が組み込まれた?
特定行為研修を組み込んだ新たな認定看護師教育機関(B課程)の設定や、認定看護師を対象とした特定行為研修も行われています。
特定行為が開始された経緯は?
2014年6月「医療介護総合確保推進法」成立しました。その中で「保健師助産師看護師法」の一部を改正し、特定行為が診療の補助に含まれました。
2015年より、厚生労働省は「今後の在宅医療等を支えていく看護師を計画的に養成していくこと」を目的として「特定行為に係る看護師の研修制度」が施行されました。
現在も特定行為のための指定研修機関が増加中だよ。
特定行為研修修了者数の目標はあるの?
厚生労働省は団塊世代が75 歳以上となる 2025 年に向けて、特定行為研修修了者約 10 万人以上を目指すとの目標を掲げています。
2021年4月時点での研修修了者は3307人、研修機関は46都道府県で272機関となっています。
後4年で目標達成は難しいかもしれないけど、研修機関も研修修了者も増えているよ。
今後はPAやNPの育成も検討されている
厚生労働省は2017年4月の「ビジョン検討会」報告書で、新たな資格として、PA(フィジシャン・アシスタント)の創設やNP(ナース・プラクティショナー:診療看護師)の養成を提示しています。
PA(フィジシャン アシスタント)とは?
PAとは、医師の監督のもとに診療、薬の処方、手術の補助など、医師が行う医行為の相当程度をカバーする医療従事者のことです。PAは残念ながら日本にはありません。アメリカの場合だと、32 ヶ月程度のカリキュラムを専門学校で履修した後、国家資格取得、州免許を取得することでPAの職務につくことができます。
NP(ナース プラクティショナー:診療看護師)とは?
NPは日本にもあります。しかし日本におけるNPと諸外国におけるNPでは実施できる行為に違いがあります。日本におけるNPとは、海外のNPをモデルに2008 年から大学院修士課程で育成が開始されました。しかし法令規定がないまま育成が続いているのが実情です。海外のNPは医師の指示がなくても、ある程度の診断や治療を行うことができます。
海外のPAやNPは自己判断で医行為が可能だよ。だけど日本にもあるNPの場合は医師の指示が無ければ医行為を行うことはできないよ。
特定行為を推進する意義と問題点
ここまで特定行為の概要について説明してきました。ここからは、特定行為を推進する意義や問題点について考えてみたいと思います。
特定行為を推進する意義は?
看護師が特定行為を行う意義について考えます。
看護師の特定行為が、特に期待されているのは在宅医療における活躍だと考えます。高齢化が進む日本では、外来通院、入院医療に加えて在宅医療が増加しています。
通院に行くのが困難な人や、自宅で治療を受けたい人が増え、在宅医療のニーズが高まっているよ
特定看護師は、手順書に従いリアルタイムで患者に特定行為をすることが可能です。つまり、患者が求めている医療ケアをすぐに提供できるメリットがあります。
また特定看護師が増加することにより、患者が病院に行かなくてすむようになることや、往診医の負担軽減等のメリットがあると考えます。
これだと特定行為は良いことばかりだね。何か問題点はあるかな?
特定行為を推進する問題点は?
「特定行為に係る看護師の研修制度」を推進する理由の1つが医師不足への対策です。
特定行為の推進と同様に、厚労省がPAの創設や、NPの養成を推進する理由も医師の負担軽減のためだと考えます。
医師の負担は、医師を増やすだけではなく、看護師へのタスク・シフティングで解決することができると考えられているよ。
医師の負担軽減は、日本の医療提供体制を改善させるためには重要なことです。しかし、看護師も慢性的な人員不足が続いている現状です。看護師の負担軽減を忘れてはいけません。
医師や看護師のスキルアップは重要ですが、各職種(医師・看護師だけでなく、その他の医療職も含め)の増員なしには労働環境の改善は難しいと考えます。
そのため各職種の人材不足への対応を行いながら、特定看護師やPAやNPを受け入れるシステムの構築を行うことが鍵となります。
カメ医師の業務負担が軽減した結果、看護師の業務負担が増えたんじゃ意味ないね。看護業務のタスク・シフティングシフトに目を向ける必要もあるよ。
論文紹介 : 特定行為研修修了後の報告
この研究は、特定行為研修修了後に看護実践が どのように変化したと認識しているのかを語ってもらったデータを定性的に分析した研究です。
以下がインタビュー内容から抽出されたカテゴリーです。
どれも看護師の職務の延長線上にあることが分かります。
つまり、特定行為研修は看護師の継続教育の一環として捉えることができます。
まとめ
現在日本は超高齢社会を迎えています。医療資源の限界がある中で、今後の医療のあり方が検討されています。その一つとして在宅医療の推進があります。
在宅医療を推進する上で、大きな懸念事項が医師・看護師不足です。この懸念事項を解決するために、推進されている政策が特定行為研修です。特定行為の普及により看護師の役割拡大により医師の負担は軽減し、患者のニーズは充足されます。
しかし、現場の理解やシステムの整備が遅れることによる職種間、患者-医療者間のトラブルや、看護師の負担増大等のデメリットもあります。
大事なことは、特定行為研修のメリットとデメリットを理解した上で活用すること。また、特定行為で学ぶことは新しいものではなく、看護師の継続学習の一環であるということを理解することだと考えます。
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