Last Updated on 2023年3月29日 by カメさん
こんにちは!未来予想などの最新技術の話題が大好きな看護師のカメさん(@49_kame)です。
今回は看護協会のSDGsへの取り組みから看護師の未来について考えてみたいと思います。
それでは看護協会の役割を解説した上で、SDGsと看護協会について考えていきたいと思います。
看護協会の役割について考える
看護協会とは?
看護協会とは、保健師・助産師・看護師・准看護師の看護職能団体です。
看護協会の活動は、「看護職のPR」や「国際協力」、「研修の運営」や、「雇用・労働条件の改善」など幅広い活動を行なっています。
看護協会の大きな役割は「政策提言活動」
看護協会の政策を知ることは看護の未来を考える上で重要です。なぜなら看護協会は政策提言活動を行なっているからです。
政策提言活動とは、法律を変える根拠ある主張を要望書として政府に提出することです。つまり、日本の看護の未来のために政治や法律という大きな視点で活動しています。
「看護協会」と「看護連盟」の違いは?
看護協会は「政策提言活動」、看護連盟は「政治活動」と分担しています。
看護連盟は政治団体として国政や地方議会に代表を送り出しているよ。
看護協会とSDGsの関係
日本看護協会では、SDGsに関する看護の国際的なキャンペーンである「Nursing Now キャンペーン」が終了した2021年度以降もSDGsの目標年である2030年までの間、SDGsの3つの目標と関連づけた重点政策を行うとしています。
看護協会が重要視するSDGsの3つの目標とは?
Nursing Now キャンペーンでもSDGsの3つの目標を重要視していました。看護協会の政策も同様です。
目標3「保健」:すべての人に健康と福祉を
目標5「ジェンダー」:ジェンダー平等を実現しよう
目標8「経済成長・雇用」:働きがいも経済成長も
それでは3つのSDGsの目標と関連づけた看護協会の政策について説明していくよ。
看護協会の重点政策(2022年度)とSDGsの目標
重点政策①:全世代の健康を支える看護機能の強化
対応するSDGsは目標3の「保健:すべての人に健康と福祉を」です。
主な政策は以下の3つです。
①-1:看護提供体制の構築
①-2:地域における健康・療養支援体制の強化に向けた取組み
①-3:地域における看護職の確保
それぞれ解説していきます。
①-1:看護提供体制の構築
- 入院医療から在宅医療・介護における看護提供体制の構築
- 訪問看護・看多機の提供体制強化に向けた取組み
国の推計では、2025年には最大約12万人の訪問看護従事者が必要とされているよ。
①-2:地域における健康・療養支援体制の強化に向けた取組み
- 人々の健康と療養を支える看護活動スキームの確立
- 全国的な事業展開に向けた仕組みの検討
①-3:地域における看護職の確保と活躍推進
- 保健師の確保・活躍推進
- 助産師の確保・活躍推進
- 訪問看護師の確保・活躍推進
重点政策①とはつまり?
入院医療だけでなく、地域医療も連携して強化しようというのが重点政策①だと考えます。
少子高齢化や疾病構造の変化が進む中、医療と生活の両方の観点から患者・家族等への療養指導や支援、健康増進を図る看護の役割はますます拡大しています。
地域における医療システムの体制整備のためには、保健師や訪問看護師の拡充が求められます。また地域における母子支援のための地域包括ケアシステム構築のために助産師の拡充も急務です。
重点政策② :専門職としてのキャリア継続の支援
対応するSDGsは目標5の「ジェンダー:ジェンダー平等を実現しよう」と、目標8の「経済成長・雇用:働きがいも経済成長も」です。
主な政策は以下の3つです。
②-1:看護職の働き方改革の推進
②-2:看護職のキャリア構築支援
②-3:看護師の生涯学習支援体制の構築
②-1:看護職の働き方改革の推進
- 「頻繁な昼夜遷移が生じない交代制勤務」シフト提案に向けた検証事業の検討
- 看護業務効率化と生産性向上の推進
- 地域の看護提供体制を支える多様で柔軟な働き方に向けた課題の明確化
- 看護職員の処遇改善に向けた取り組み
②-2:看護職のキャリア構築支援」
- 看護資格の活用基盤の強化
- 看護職の就業継続・再就業支援と潜在化の防止
- 領域・地域別偏在の是正に向けた看護職員確保及びキャリア支援の推進
②-3:看護師の生涯学習支援体制の構築
- 看護師に求められる能力の体系化
- 生涯学習推進のための効果的な支援体制と周知方策の検討
- ポートフォリオや認証制度の方針検討
重点政策②とはつまり?
重点政策②は、看護師の就労環境に焦点を当てた政策だと考えます。
看護職の働き方改革や賃金・給与の改善、業務効率化など、就労環境・条件に関する政策や、看護職の「新規養成」「定着促進」「復職支援」などの人材確保に関する政策、さらには看護職が学び続けることを支援する政策などです。
重点政策③: 地域における健康と療養を支える看護職の裁量発揮
対応するSDGsは目標5の「ジェンダー:ジェンダー平等を実現しよう」と、目標8の「経済成長・雇用:働きがいも経済成長も」です。
主な政策は以下の3つです。
③-1:看護の専門性の発揮に資するタスク・シフト/シェアに関する事業
③-2:特定行為に係る看護師の研修制度の活用推進
③-3:資格認定3制度の養成戦略の検討
③-1:看護の専門性の発揮に資するタスク・シフト/シェアに関する事業
- 「看護の専門性の発揮に資するタスク・シフト/シェアに関するガイドライン及び活用ガイド」の周知・普及
- 看護補助者との協働の推進
③-2:特定行為に係る看護師の研修制度の活用推進
- 制度活用促進のための課題解決に関する取り組み
- 特定行為指定研修機関への支援
- 特定行為研修の実施および質向上のための取り組み
③-3:資格認定3制度の養成戦略の検討
- 認定看護管理者制度の見直しに関する検討
- 専門看護師の養成に係る課題の検討
- 特定認定看護師への移行推進
重点政策③とはつまり?
重点政策③とはつまり、看護職の専門性を更に高めて行こうという政策だと考えます。
2024年から医師の働き方改革が開始されることを理由に、看護師のタスクシフト・シェアの議論が進められています。
医師の働き方改革により労働時間が短縮する一方で、今まで通り、必要な医療を安全かつタイムリーに提供されなければいけません。そのためには看護師の専門性の範囲を拡大して、医師の業務をシフトしていくことが求められます。
看護師の専門性の範囲拡大のためにも2015年10月より施行された「特定行為に係る看護師の研修制度」に注力するとともに、資格認定3制度(専門看護師・認定看護師・認定看護管理者)の強化を掲げています。2020年には認定看護師に特定行為研修を組み込んだ認定看護師教育課程(B課程)の教育が開始されています。
医師の業務を看護師にシフトして、看護師の仕事を他の職種にシフトしていくことになるよね。そうすると、結局病院全体の業務量は変わらないし、他職種の負担が増えたり新しい人材を雇用する必要が出てくるって課題もあるよね。
専門看護師の教育課程を管理・運営すのは日本看護系大学協議会や日本専門看護師協議会で、認定看護師とは異なります。
2024年の医師への時間外労働の上限規制の適用
2024年4月から開始予定の「医師の働き方改革」では、「勤務医の時間外労働の年間上限は原則960時間とする」「連続勤務時間制限、長時間勤務医師の面接指導などで、勤務医の健康確保を目指す」など、医師の労働時間に関する取り決めを中心として、医師の働き方の適正化に向けた取り組みが実行される予定です。
ちなみにNPとは?
NP(ナースプラクティショナー)とは、医師の指示を受けずに一定レベルの診断や治療などを行うことができる、米国等の看護師の資格です。
日本にはナースプラクティショナーという資格は無く、「NP教育課程修了者」という扱いです。
現在の日本の法律においては、看護職は、医師の指示を受けなければ医行為や診断・処方を行うことはできないよ
前述のタスクシフト・シェアの流れを受けて、看護の基盤をもちながら、一定レベルの診断や治療などを行う、米国等のような「ナース・プラクティショナー」の資格が日本においても必要です。
2020年9月には日本看護系大学協議会と日本NP教育大学院協議会、日本看護協会の三団体で協働し政策案として「ナース・プラクティショナー制度の創設に関する要望書」を提出しています。
医師会とコンセンサスを得る必要があったり課題は沢山あると思うけど、今後に期待だね!
重点政策④ :地域の健康危機管理体制の構築
対応するSDGsは目標3の「保健:すべての人に健康と福祉を」です。
主な政策は以下の3つです。
④-1:新型コロナウイルス感染症への対応
④-2:感染症のパンデミック及び災害時の看護支援
④-1:新型コロナウイルス感染症への対応
- 都道府県看護協会と連携した看護職員派遣
- 相談応受体制の継続実施
- 感染管理認定看護師及びクリティカルケア認定看護師等養成推進
- 看護管理者の育成、マネジメント強化
④-2:感染症のパンデミック及び災害時の看護支援
- 大規模災害発生時における看護支援活動のあり方の検討
- 大規模災害発生時における看護職の安全な活動のための支援
- 感染症のパンデミックにおける看護活動の現状と課題の整理
重点政策④とはつまり?
重点政策④とは、感染症や災害に関する政策だと考えます。
感染症とはCOVID19によるパンデミックへの対応が主であり、看護師の派遣や育成、補助金等の支援です。また災害とは主に災害支援ナースに関するものです。災害支援ナースとは大規模自然災害発生時に災害支援として派遣され、看護支援活動を行う看護師です。
まとめ
日本では、少子超高齢化による人口・疾病構造の変化を見据えた社会保障制度改革が進んでいます。
その中で日本の保健医療提供体制は、医療・ケア・生活が一体化した 地域包括ケアシステムへと転換しようとしています。看護職には病気や障がいとともに生きる「暮らしの場での看護」、治療や回復のための「医療機関での看護」、地域住民の健康増進・疾病予防・介護予防をめざす「保健活動」など様々な役割発揮が求められています。
そのような状況で医師不足や看護師不足という課題に直面しています。医師・看護師の働き方改革、医師・看護師業務のタスクシフト・シェアの推進、看護職の専門性の拡大が急務となっています。
地域医療においては特に、特定行為などの看護職の専門性の拡大が期待されているよ
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