Last Updated on 2023年3月29日 by カメさん
こんにちは!未来予想などの最新技術の話題が大好きな看護師のカメさん(@49_kame)です。
今回はSDGsにおける看護の役割について考えてみたいと思います
2015年よりSDGsという言葉がメディアでも使われ始め、最近では当たり前のようにSDGsという言葉を目にします。
SDGsとは何か、SDGsにおいて看護に出来ることは何かについて考えてみたいと思います。
まずはSDGsについて理解しよう
SDGsの概要
SDGsとは、Sustainable Development Goalsの略で、持続可能な開発目標のことです。
2015年の国連総会で全会一致で採択された「我々の世界を変革する持続可能な開発のための2030アジェンダ」という文書の一部です。
アジェンダとは計画のことです。つまりこれは人間と地球が繁栄するための計画であり、SDGsとはその計画の中の目標です。
SDGsは2030 年を達成年限として、17のゴールと169 のターゲットから構成されています。17のゴールは2030年のあるべき姿であり、169のターゲットは17のゴールに到達するための具体的な目標です。
今回は17のゴールについて解説した後に、SDGsにおいて看護が果たすべき役割を考えてみたいと思うよ。
SDGsの3つの側面
持続可能な開発には3つの側面があります。
1:社会的側面
貧困や飢餓、教育などの未だに解決が見えない社会面の開発計画。
2:経済的側面
エネルギーや資源の有効活用、働き方の改革、不平等の解消など、すべての国が持続可能な形で経済成長を目指すための経済面の開発計画。
3:環境的側面
地球環境や気候変動など地球規模で取り組むべき環境面の開発計画
これら3つの側面から世界が直面する課題を捉え、課題を解決することにより持続可能なよりよい未来を築くことを目標とするのがSDGsの17のゴールだよ。
SDGsの17のゴールとは?
あらゆる場所あらゆる形態の貧困を終わらせる
飢餓を終わらせ、食料安全保障及び栄養の改善を実現し、 持続可能な農業を促進する
あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する
すべての人に包摂的かつ公正な質の高い教育を確保し、生涯学習の機会を促進する
ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児のエンパワーメントを行う
すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する
すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的なエネルギーへのアクセスを確保する
包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用を促進する
強靭(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る
国内及び各国家間の不平等を是正する
包摂的で安全かつ強靭(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する
持続可能な消費生産形態を確保する
気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる
持続可能な開発のために、海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する
陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処ならびに土地の劣化の阻 止・回復及び生物多様性の損失を阻止する
持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する
持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する
本題:看護とSDGsの関連
看護とsdgsを考える上で重要になるのがNursing Nowキャンペーンです。
Nursing Nowキャンペーンとは?
世界保健機関(WHO)と国際看護師協会(ICN)の後援のもとで、英国のバーデット看護信託(チャリティ団体)が事務局となって運営されていたキャンペーンです。
2018年から、ナイチンゲール生誕200年となる2020年までの3年間で実施されたキャンペーンで、現在は終了しています。
現在は終了しているキャンペーンだけど、看護の今後の展望を理解する上で重要だよ
Nursing Nowキャンペーン目的
- 看護職が持つ可能性を最大限に発揮すること
- 健康問題への取組みの中心に立つこと
- 人々の健康の向上に貢献するために行動すること
- 看護職への関心を高め、その地位を向上させること
つまり看護の社会的地位の向上等を通じて、世界的な保健衛生の改善を目指すことがNursing Now キャンペーンの目的でした。
Nursing Now キャンペーンの「5つの目標」と「5つの重点的な取り組み」
ここで提示する5つの目標は、キャンペーンの2年間だけではなく、2030、さらにその先の未来に向けて取り組むべき重要事項だと思いますので抑えておきましょう。
Nursing Now キャンペーンの5つの目標
- 政策形成における看護師・助産師の発言力の確保
- 看護労働への投資の促進
- 主導的地位にある看護師への支持
- 看護が特に強い力を及ぼしうる領域を明確化するための研究の推進
- 優れた看護実践の共有
Nursing Now キャンペーンの5つの取り組み
- 看護職の教育・専門職開発・雇用条件等への財源確保
- 効果的・革新的な 看護実践の普及
- 保健医療政策への看護職の影響拡大
- リーダーの職位につく看護職の増加
- 政策実現に向け政策・意思決定者へのエビデンス提供の拡大
SDGsとNursing Nowキャンペーンの関連
Nursing Nowキャンペーンは、看護の力を発展させることにより、SDGs17のゴールのうち、「3:保健」「5:ジェンダー」「8:経済成長・雇用」に貢献出来るという考え方がベースになっています。
2015年の国連サミットで「持続可能な開発目標(SDGs)」が採択され、2016年にSDGsを踏まえて看護に関する報告書「トリプル・インパクト」が公表されました。そして2018年から2020年の2年間、「トリプル・インパクト」を踏まえた「Nursing Now キャンペーン」が展開されました。
時系列で見るとこんな感じ。
SDGs→トリプルインパクト→Nursing Now キャンペーン→2022年以降
トリプルインパクトとは?
SDGsを踏まえて、英国の「グローバルヘルスに関する議員連盟」(APPG)が作成したものです。SDGsのうち、特に「保健・ジェンダー平等・経済成長」に関する看護の力を強調しています。
看護特有の貢献として、親密なhands-onケア、専門的知識、人道的価値観を挙げていて、看護の社会的地位向上や、看護師の全潜在能力の発揮等を推奨しています。
日本での取り組みは?「Nursing Now ニッポン宣言」
日本におけるNursing Nowキャンペーンでは、看護協会・看護連盟を含む、30団体程の組織が参加しました。
2021年1月にはNursing Nowフォーラム・イン・ジャパンにて「Nursing Now ニッポン宣言」が表明されました。
これは、Nursing Nowキャンペーン終了後の看護を見据えたものだよ!
Nursing Now ニッポン宣言とは?
「Nursing Nowフォーラム・イン・ジャパン」では、政策におけるエビデンスの重要性、地域における活動、災害への備えと対応につき議論されました。
その議論の中で、看護職が地域の健康文化の醸成、社会の発展に貢献する力を持っていることが再認識されました
そして看護職の持つ力をSDGs達成すべきとの認識の下、以下の「Nursing Now ニッポン宣言」が宣言されました。
- 健康な地域・健康な社会づくり、人々の生涯を通した安心・安全で健康な暮らしに、これまで以上に貢献します。
- 看護職が社会のニーズを満たし、あらゆる場でその力を十分に発揮できるよう、実践から政策まで、それぞれの変革を推進するための意思決定に参画します。
- 利用可能な最善のエビデンスに基づく、よりよい意思決定に寄与するため、幅広くエビデンスの集積に取組みます。
- これらの日本における取組み・成果を世界と共有し、世界的な目標であるSDGsの達成、世界の人々の健康向上に尽力します。
まとめ
これからの看護を考える上では大局を見ることが重要です。SDGsは世界的に見た目標です。日本にはどのような問題があるでしょうか。
日本では、少子超高齢化による人口・疾病構造が変化しています。その変化を見据えて社会保障制度改革が進んでお り、保健医療提供体制が大きく変わり初めています。
具体的には医療・看護・生活が結びつく地域包括ケアシステムの拡充が進められています。
世界的状況、国内の状況を把握した上で、看護師として何が出来るのかを個々人が考えることが重要だよ。
ナーシングナウキャンペーンは終わりましたが、2030年、さらにそれ以降を見据えて看護師の役割を考えていきましょう。
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